新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。上級生の皆さんも進級おめでとうございます。4月から始まる新生活に期待や不安など、さまざまな感情を抱いていることと思います。今回、日本薬学生連盟広報部は、昨年度1～6年生であった薬学生30人に、学生生活での楽しみや不安についてアンケート調査を行いました。皆さんの今後の大学生活の参考になれば幸いです（2024年度広報統括理事 大阪医科薬科大学薬学部3年生 塚本有咲）
入学当初に楽しみにしていたこと
まず、「入学当初、最も楽しみだったことは何ですか」と質問したところ、ほとんどの学生が勉強や研究といった学業に関することを挙げ、その次に部活動・サークル、人間関係（家族・友人など）が多く挙がりました（図1）
勉強・研究を楽しみにしていた理由として、「薬剤師になるためのスタートラインに立つことができるから」「薬について学んでみたいと思っていたため」「研究開発に興味があったので大学での研究が楽しみだった」などが挙がり、薬学部に進学したいというかねてからの希望がかなったことがうかがえました。
部活動・サークルを楽しみにしていたという学生は、「交友関係を広げられると思った」「趣味の仲間を作ることができると思った」「高校では挑戦できなかったことに取り組むことができる」という理由を挙げており、新たな出会いや挑戦を楽しみにしていたことがうかがえます。
人間関係（家族・友人など）を挙げた学生は、「大学は中学や高校とは異なる雰囲気だと思った」「新しい環境で今まで出会うことのなかった人に会うことができると考えた」と答えており、大学での新たな出会いを楽しみにしていたことが示唆されます。
現在の楽しみについて
次に、「現在の学生生活で楽しみなことは何ですか」と質問したところ、多くの学生が部活動・サークル、人間関係（家族・友人など）と答えました（図2）
部活動・サークルを挙げた理由として、「大学生らしい時間を過ごせていると思うから」が挙がりました。また、「部活動の内容そのものが楽しい」という回答も見られました。
人間関係を挙げた学生は、「多くの人と出会うなかで視野が広がった」「何でも話せる友達ができた」という理由を挙げており、大学生活を通して人脈を広げられることを楽しんでいることがうかがえました。
現在、勉強が楽しいと感じている学生も見られました。その理由として、「低学年から知識を積み重ねているので徐々に薬のことが分かるようになってきている」「少しずつ薬のプロに近づいているという実感がある」が挙げられ、入学当初に理想としていた姿に近づいていることをうかがわせる回答も見られました。
入学当初の不安と対処法
次に「入学当初、最も不安だったことは何ですか」と質問したところ、ほとんどの学生が勉強と答え、次に人間関係（家族・友人など）が多く挙がりました（図3）。入学当初楽しみにしていたこととして勉強を挙げた学生が最多だったことを踏まえると、多くの学生にとって勉強が楽しみでもあり不安でもあったと考えられます。
「入学当初勉強が不安だった」と答えた学生のうち、7割近くの学生が「今も不安を解消できていない」と答えました。勉強の不安を解消するために取り組んでいることとして、「とにかく勉強する」「友人と一緒に勉強する」といった回答が目立ちました。
また、「入学直後は勉強に不安を感じていたが現在は解消している」と答えた学生も「先輩から過去問をもらったり、勉強方法を教えてもらったりした」と答えていました。このことから、先輩から情報などをもらって、友人と情報を共有し合い、一緒に学ぶことで試験を乗り越えていることがうかがえました。
その他にも「スポーツと比較して勉強は努力が結果に直結しやすいと考えると、勉強への不安は解消された」という回答や「常に勉強に対して不安はあるが、他の学生も同じことで悩んでいると考えると気がまぎれた」といった回答もみられ、勉強をネガティブなものとして捉えず、ポジティブに考えることが不安解消に役立つことが示唆されました。
入学当初、「人間関係が不安であった」と答えた学生のほとんどは「現在は人間関係に不安を感じていない」と答えており、学生生活を通じて人間関係の不安が解消されたことがうかがえます。対処法として、「自分に合う友人を探した」「自分から積極的に話しかけることで、様々な学部・学科の友人を作るようにした」といった自発的に働きかけた学生がいました。
その他にも、「多くの場所に行って友人をつくり、相手を受け入れる」「高校までは同じ学校でしか交友関係を広げることができなかったが、大学入学後は大学内外問わず共通の趣味や価値観を持つコミュニティに入ったことで交友関係が広がった」と答える学生もいました。
このことから、大学ならではの自由というメリットを生かしつつ、交友関係を広げるために自ら働きかけることが重要であると考えられます。
おわりに
今回の調査を通じて、薬学生は勉強に対して常に不安を感じながら学生生活を送っていることが分かりました。しかし、薬学部での学生生活は勉強だけではなく、課外活動などを通して新たな友人と出会い、自分自身の視野を広げている学生も少なくありません。
また、「入学後に勉強面の不安が解消された」と答えた学生や、「現在勉強が楽しい」と答えている学生もいることから、決して勉強はつらいことばかりではないと思います。学業を最優先にしつつも、課外活動にも積極的に取り組み、充実した学生生活を送ってください。
