【厚労省】14年度覆面調査の結果公表
厚生労働省は5月1日、薬局・薬店で一般用医薬品が適正に販売されているかどうかを把握するため、調査員が消費者を装って実施している2014年度の「医薬品販売制度実態把握調査」(覆面調査)結果を公表した。
昨年、薬事法から名称が変わった医薬品医療機器等法(薬機法)の施行により、新設された「要指導医薬品」や、新ルールが整備された一般薬のインターネット販売の遵守状況を調べている。
医療用から転用して間もない要指導薬は、原則、使用者以外の家族などが代理購入することを認めておらず、薬剤師が、購入者が使用者本人であるかを確認することが義務づけられているが、本人確認を行った店舗は80.1%にとどまっていた。
第1類薬販売時に情報提供を行っていた店舗は93.8%だった。ただ、このうち法律で規定されている「薬剤師による文書での詳細な説明」を行っていた店舗は70.1%で、前年度の67.5%からわずかに改善したものの、遵守されているとは言い難い結果となった。
厚労省は、「まだ改善の余地がある。引き続き、自治体や関係団体と連携して販売制度の定着に努めていきたい」とした。
ネット販売の調査では、販売ルールが法的に整備されたこともあり、ホームページにリスク分類に関する定義・解説を記載していたサイトが前年度の64.0%から93.8%、第1類販売時にメールで問い合わせを行い、返信があったサイトが前年度の54.7%から92.1%に上昇するなど、遵守状況は大きく改善している。ただ、第1類薬販売時の情報提供は、53.2%のサイトしか遵守していないことも分かっている。
【財政制度等審議会】後発品、17年度内に80%‐調剤報酬は見直しなど提示
国の財政のあり方などを検討する財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」は6月1日、財政健全化計画等に関する建議をまとめた。高齢化で膨らみ続ける社会保障費の伸びを年0.5兆円の範囲内に抑える具体的な歳出改革策として、後発品の数量シェアを現行の「2017年度内に60%」から「80%以上」に引き上げる新たな目標を設定し、そのための措置をとるよう求めた。
建議では、社会保障関係費の歳出の伸びを抑えるため、公的保険給付範囲の見直しや、医療提供体制の改革、予防の推進などの効率化に幅広く取り組む必要性を指摘。後発品の目標値引き上げについては、今夏の時点で政府としてコミットすることにより、予見可能性を高めて「後発品メーカー等の生産体制の円滑な構築のための設備投資を促すことが適切」とした。
また、後発品の薬価に基づき、保険償還額を設定する「参照価格制度」を18年度から導入することも求めた。
調剤報酬については、医薬分業進展の影響を除いても伸びが大きく、院内処方と院外処方の報酬の水準の違いを含め、薬局が果たしている機能に照らして調剤技術料が適正かどうか、薬局の収益率も踏まえて、見直す必要があると指摘した。
日本薬剤師会の山本信夫会長は6月4日の記者会見で、調剤技術料の伸びを指摘した財政審の建議について、「実質的な伸びは医科や歯科並み」と反論した。その上で、「薬局の調剤技術料だけが伸びているように説明し、それを抑制すべきだとする提言には賛成しかねる」と述べ、次期診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会の議論の中で反対していく考えを示した。
【厚労省】健康情報拠点薬局、基準作りの議論開始‐かかりつけ機能の整理も
厚生労働省は6月4日、健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会(座長:西島正弘昭和薬科大学学長)の初会合を開き、地域の健康情報拠点としてふさわしい薬局の基準作りに向けた議論を開始した。本来のかかりつけ薬局の機能に加え、一般用医薬品や医療・衛生材料などを販売し、地域住民の相談にも応じるなどの機能を念頭に、健康情報拠点薬局の定義やふさわしい薬局の基準、公表の仕組みをどうするかなどについて議論し、今夏をメドにとりまとめる。基準を満たした薬局を地域住民に周知するための仕組みは、早ければ来年度にも導入される。
会議は、政府が策定した「日本再興戦略」に盛り込まれている“薬局・薬剤師を活用したセルフメディケーションの推進”“充実した相談体制や設備などを有する薬局を住民に公表する仕組みの検討”を踏まえ、健康情報拠点としてふさわしい薬局の「定義・名称」「基準の策定」「公表の仕組み」を検討するために設置された。
厚労省が示した検討事項によると、健康情報拠点薬局の「定義」をめぐっては、「かかりつけ機能」「日本再興戦略」「地域包括ケアシステム」において薬局・薬剤師に求められている役割について議論することになりそうだ。
「基準」については、2014年度の健康情報拠点事業の実態や好事例、地域包括ケアへの参画状況などを踏まえて検討する。公表の仕組みは、既存の薬局機能情報提供制度を活用することも含めて検討を進める。
【厚労省】25年メドに全薬局「かかりつけ」へ‐再編に向け年内にビジョン策定
塩崎恭久厚労相は5月26日、国の経済財政政策について議論する「経済財政諮問会議」で、プライマリケアを強化するため、2025年をメドに全国5万7000軒の保険薬局をかかりつけ薬局に再編することを目的とした「患者のための薬局ビジョン」を年内に策定し、公表することを明らかにした。
ビジョンは、「門前からかかりつけ、そして地域へ」を副題とし、▽立地から機能へ▽薬中心から患者中心へ▽バラバラから一つへ――を柱テーマに据え、「24時間・在宅対応」「処方提案」「情報の一元的管理」「残薬解消」「重複投薬防止」などの具体例を示した。
今後、策定するビジョンに基づいて、「医薬分業の原点に立ち返り、5万7000の薬局全てを患者本位のかかりつけ薬局に再編」するための施策を進め、25年までに地域包括ケアシステムの構築と医療介護サービス体制の改革につなげるとした。