岡山大学発のバイオベンチャー「桃太郎源」は、悪性中皮腫を対象とした遺伝子治療用製剤「Ad-SGE-REIC」の国内治験を開始する。昨年4月に杏林製薬に導出し、この1年間で治験薬製造プロセスの構築や毒性試験、当局への治験届提出などの準備を終えた段階にあるという。公文裕己研究担当取締役(CSO)は、「Ad-REICは癌細胞だけを攻撃し、抗がん免疫の活性化を担う新たな世代の癌ワクチンとして、全ての固形癌で提供できる」と述べ、肝臓癌の開発も視野に入れる。
「Ad-REIC」は、不死化細胞の研究から、岡山大学で独自に単離・同定された癌抑制遺伝子「REIC」をもとに開発した、遺伝子治療による次世代癌ワクチン療法。REICは、正常細胞では高発現しているが、前立腺癌をはじめ各種の癌細胞では高頻度で発現が抑制されていることが分かっている。