【薬学生 キャリア相談Q&A】薬剤師が転職する理由は?

2024年9月15日 (日)

薬学生新聞

キャリア・ポジション代表取締役
西鶴 智香

西鶴智香氏

Q

 薬学部4年生です。私はまずはどこかに就職し、数年後にはスキルアップする転職をしたいと考えています。親は、できるだけ長く勤務するのがいいと言うのですが、転職ってよくないことなんでしょうか。薬剤師はどんな理由で転職しているのでしょうか。

A

 私は、自分が新卒就職後6年で転職しましたので、転職自体が悪いことだとは思いません。ただ、私と同年代だと思われる親御さんがあまり賛成しないのも理解できます。1990年に社会に出た私の時代は、転職する人は「忍耐力のない人」というレッテルを貼られるだけで、スキルアップの転職をする人はまだ少なく、当時の人達にもそういう価値観はほとんどなかったように思います。

 さて、現代の薬剤師は、転職する方は多いように思いますね。看護師や他の医療職も含め専門職の人々は、どこでも通用できるスキルを持つことが一番のキャリア目標であることが多いです。機会があれば職場を変わり、いろんなシチュエーションで仕事を経験してみることは自分のスキルを上げることにつながるのはその通りです。東京商工会議所などの様々な調査では、薬剤師に限らず今の若い世代は、新卒で入社する会社で定年まで働こうとする人の割合は、わずか2割だったそうです。

 先輩薬剤師の転職理由は主に二通りあります。一つは、自分のスキルアップを第一目標とし、そのために違う場面での経験を求める人。例えば、急性期病院で働く薬剤師が、より専門性を高めるために専門病院に転職したり、大手チェーン薬局で働く薬剤師が、地域住民の健康管理に深く関わるために人事異動のない小規模薬局に転職したりする場合です。より多くの仕事を経験すると、そこから得られた気づきがキャリアアップにつながるので、キャリア開発には有効です。

 これとは違い、「会社の方針に不満がある」「上司や先輩と良い関係が築けない」等、今の働く環境とは違う環境を求める転職もあります。この理由での転職はお勧めしません。というのも、環境を変えたとしても、また別の不満に遭遇する可能性があるからです。これを避けるには、「自分は何に不満を感じやすいのか」を明確にすることです。

 いずれの場合も、「仕事を通じて、自分は何を達成したいのか」が明確になっていれば、私はいつでも転職することを反対しません。就職でも転職でも、やはり「自己分析が大切だ」ということには違いはありません。



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