【対談 薬学生×医学生×理学療法学生】世界の仲間と意見や知識を共有

2017年11月1日 (水)

薬学生新聞


円状に座り、テーマについて議論

円状に座り、テーマについて議論

 医療のグローバル化や多職種連携が期待されている中、今年の夏、医学や理学療法学、薬学を学ぶそれぞれの学生団体が世界中の医療系学生が一度に集まる国際会議に参加しました。国際医学生連盟日本支部から棚元ななさん(北里大学医学部4年)、塚本雄太さん(杏林大学医学部4年)の2人、日本理学療法学生協会から舟木空哉さん(名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻4年)、千葉彩加さん(首都大学東京健康福祉学部理学療法学科3年)、土屋俊悟さん(同3年)の3人、日本薬学生連盟から中川翼さん(慶應義塾大学薬学部薬学科4年)、海野彩夏さん(明治薬科大学薬学部薬学科3年)の2人の計7人の学生がそれぞれ参加した会議について対談し、お互いの立場で感じたことを率直に語り合いました(日本薬学生連盟2017年度広報統括理事=東邦大学4年・吉田栄子、東邦大学3年・川口悠里江)

医療系学生団体の国際会議とは

 ――まず、それぞれの団体について簡単に教えてください。

 海野(薬) 日本薬学生連盟(APS)は薬学生を中心として活動をしている団体で、北は北海道から南は九州まで全国各地にスタッフがいる、日本で唯一の全国規模の薬学生の団体です。活動規模は日本全国にとどまらず、IPSF(国際薬学生連盟)という国際組織にも所属しています。現在IPSFには、世界80カ国、35万人ほどが所属しており、その加盟国がホスト国となって、世界会議やAPPSと呼ばれるアジア会議を開いたりしています。また、国際会議に加えてIPSF自体は、加盟国同士で行う交換留学、服薬指導を英語で行うイベント、オンラインでの啓発活動などを行っています。

 千葉(理) JPTSA(Japan Physical Therapy Student Association)は、日本理学療法学生協会という理学療法学生のための組織です。その中の1部署である国際部に私たちは所属しています。私達の所属するJPTSAもAPSTA(アジア学生理学療法協会)という組織の中の一つの加盟団体として存在しており、他にもアジア諸国から8カ国の国が所属しています。主に国際会議としては、今年はマレーシアで行われたAPTSA-congressという会議に参加しました。海外の学生とつながることで、海外のみならず日本の知識・情報を調べ得られること、そして得られた知識を日本の理学療法学生に広げること、また国際部で得られる運営力や英語力、社交性などを将来に活かすことが目的です。

 塚本(医) 私たちもAPSやJPTSAと同様の組織体系となっており、IFMSA(国際医学生連盟)という国際的な組織の日本支部としてIFMSA-Japanは活動しています。IFMSAは1951年にヨーロッパで発足し、現在の日本支部の前身が64年に設立しました。IFMSAはWHOに認められている世界で唯一の医学生団体として活動していて、それ以外にも世界医師会や国連などと正式にパートナーシップを結び、医学生の代表として、社会に対して多くのアプローチをしています。

対談で談笑する医学生連盟の塚本さん(左)、棚元さん

対談で談笑する医学生連盟の塚本さん(左)、棚元さん

 棚元(医) IFMSAは今年10月の時点で全世界で127カ国136の加盟団体が所属しており、130万人の医学生が活動しています。五つの地域に分かれていて、私たちはアジア太平洋地域に所属しています。他には、アフリカ地域、中近東地域、ヨーロッパ地域、南北アメリカ地域があります。アジア太平洋地域には現在18の加盟団体が所属しています。

 塚本(医) 世界各国に支部があるので、加盟団体が一堂に会する場として、世界総会が年に2回、3月と8月に開催されています。加えて、私たちはアジア太平洋地域に所属しているので、アジア太平洋地域会議を毎年夏に開催しています。国際会議の開催国は立候補制で、通常1年前の国際会議において選挙で決定されます。今年は10年ぶりに日本での開催が決定し、9月に東京で開催しました。

文化・学術的交流でネットワーク構築

 ――早速、それぞれの国際会議について教えてもらいたいと思いますが、各会議の目的、参加国、参加国の対象、期間、開催時期、開催国、日本人の参加人数など開催概要を教えてください。

 海野(薬) 今年開催された世界会議について話したいと思います。目的は、国境を越えた知識のシェアとネットワークを広げること、現代の進歩する薬学に学生のうちからついていくこととなっています。参加国は43カ国で対象は世界各国の薬学生です。期間は7月31日から8月10日までの11日間で行われました。今年は台湾で開催され、日本人参加者は24人と1年生から5年生まで幅広い学年の薬学生が参加しました。

 中川(薬) 今年開催されたアジア会議の目的も世界会議とほぼ同じで、こちらの参加国はアジア太平洋地域の国々から約10カ国が参加しました。期間は1週間、今年は7月の末にタイで開催され、日本人参加者は試験期間のため3人でした。

 棚元(医) 日本が参加している国際会議には、世界総会とアジア太平洋地域会議があります。世界総会には、目的は大きく二つあると考えています。一つ目はディスカッションを通じて学術的な知識を身につけ、そして世界的なネットワークを構築することです。二つ目は世界の医学生を代表した意見として提言をまとめることです。ここでまとめられた提言は国連やWHOを通じて国際社会に発信されます。世界総会は全加盟国を対象とした国際会議ですので、3月にモンテネグロで行われた際には、約100か国から約800人の医学生が参加しました。期間は3月1日から7日間で、日本からは13名が参加しました。各国の定員は16人と決まっているので、毎回定員以内の人数に抑えています。そして9月に日本で開催されたのがアジア太平洋地域会議です。こちらはアジア太平洋地域を対象としていて、今年は14カ国から約200人が参加しました。期間は9月17日から4日間で、東京で開催しました。主催国の定員は大幅に増えるので、日本からは約50人が参加しました。

 土屋(理) 私たちが今年参加したのは、APTSA-congressというアジア会議です。そもそもAPTSAは、情報の交換、国際競争力の向上、視野の拡大を目的としており、このアジア会議も文化的・学術的交流を通して海外と日本の情報を交換し、国際競争力を上げ、医療や学習能力を向上させていこうというのを目的に置いています。参加国はAPSTAに加盟している9カ国で、今年は8月10日から2日間、会議の参加者の中で希望者だけが参加できる実技を行うプレワークショップがはじめにあり、その後メインの会議が2日間の計4日間行われました。全体の参加人数は200人くらいで、日本人参加者は20人ほどでした。

各国の治療法の違い学ぶ‐パーティーでは異文化を体験

 ――それぞれの企画の共通点と相違点を見つけるため、まずはアクティビティを挙げてもらえますか。

 中川(薬) 似通っている点としては、セッション(国際会議)、テーマイベント(シンポジウム/講義)、ワークショップ(分科会)、カルチャーパーティー(文化交流会)がありますね。あとは、IFMSAとAPSの会議には共通してリーダー育成プログラムも開催されています。

 ――世界会議の目玉だと思うイベントや自分の団体特有と思うイベントは何ですか。

 海野(薬) “international night”が一番の目玉だと思っています。この企画は各国3~4分間ダンスや歌といったパフォーマンスを民族衣装を着て行ったり、自分たちの国のブースを設けて各国特有のお菓子や飲み物を出したりして、交流を深めることができます。この企画の間だけでも世界中の食べ物や人に会えるので、プチ世界旅行をした気分になりました。とても楽しかったです。

 中川(薬) 世界会議もアジア会議も毎晩パーティーを開くという慣習があり、開催国の文化を体験できるパーティーやプールパーティー、バーベキューやウォークラリーと開催国が趣向を凝らして毎年様々な魅力あふれる企画を開催しています。

 海野(薬) プログラムの一つである啓発活動も特殊で、トピックは糖尿病やたばこ、感染症など公衆衛生に関わる様々なテーマが取り扱われます。今年は各班に分かれて啓発ポスターを作り、ショッピングモールで通行人に啓発活動を行いました。

 中川(薬) 開催国によってはフラッシュモブで啓発活動を行ったりもします。そのための練習時間も用意されていたりして、町の広場で踊る啓発活動は結構面白かったです。

 千葉(理) 個人的には“各プレ”がお勧めです。各プレでは、開催国が決定するテーマに従い、各国の治療の歴史から現在ではどういった治療をしているのかなど幅広くそれぞれの国から発表してもらうのですが、この企画を通してとても知識を深めることができ、かなり面白かったです。

 今回のテーマは腰痛だったのですが、日本は今回、産業理学療法という、会社で働く人の腰痛予防や、妊婦さんのヘルスケア、出産前後の腰痛予防に関する内容で発表しました。

 中川(薬) 他の国で面白かった腰痛の話はありましたか。

 千葉(理) 鍼灸ですね。日本でも鍼灸はありますが、理学療法士が行うことはないので面白いなと思いました。あとは、タイでは理学療法士よりタイ式マッサージの方が頼られているという独自の文化が根づいていたことが印象深かったです。

 中川(薬) “case study”もAPTSA-congress特有の企画だと思いますが、これについても教えてもらえますか。

 千葉(理) この企画では講師の先生が提示する症例について、他国の学生と英語でディスカッションします。症例一つでも各国さまざまなアプローチの方法や考え方があり、治療面にて知識の引き出しが増えたと思います。

 舟木(理) ただ、各国で治療法は違いますが、症例に対して見るポイントは似ていて、最初の進め方は各国同じような感じでした。

 解剖学的、運動学的な知識はどの国も同じで、そこからの評価や治療法が異なっているんだなという発見がありました。

 棚元(医) 個人的におすすめなのが、夜間に行われるPlenary(総会本会議)です。各国から代表団が参加し、IFMSA全体の運営に関して投票したり、世界の医学生を代表とした意見を文章にまとめて採択したりという、意思決定のプロセスを垣間見ることができます。

 日本の学生にはあまりなじみがなく、関心を持ってくれる人が少ないのですが、海外の学生は政治的な働きかけ(アドボカシー)に興味を持って活動しているので、その場で活発な議論が行われていて、いつもとても驚かされます。


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