国家試験に向けた学習ポイントと勉強法 その3

2013年11月1日 (金)

薬学生新聞

 薬剤師国家試験が少しずつ近づいてきていますが、皆さんの勉強の進捗はいかがでしょうか。模擬試験を受験している方も多くいらっしゃると思います。

 模擬試験を受験する目的はいくつかあるかと思いますが、3つの重要な目的があります。1つ目は成果を確認するということです。今現在、勉強されている内容がどの程度できているかを確認します。

 2つ目は、弱点科目、範囲を確認することです。特に重要なことは、多くの学生が得点できたのに、自分が間違えてしまった問題は、必ず見直しましょう。国家試験は、正答率の高い問題を取りこぼさないことが重要です。

 薬ゼミの模擬試験カルテでは、総合正答率が60%以上であるにもかかわらず間違えてしまった問題には、赤帯を付けています。その問題は、しっかりと見直しをしましょう。

 3つ目は、知識を補充すること――です。模擬試験では、自分が把握できていない問題や新傾向の問題が出題されます。そのような問題は、解説を確認し、自分の知識をさらに高めましょう。特に新傾向の問題は、過去問に出題されてはいませんが、重要な内容であるため、解説書を読み、しっかりと確認しましょう。

 次に、今回でシリーズ3回目となりましたが、国家試験も近づいているため、今からの対策が重要となる、衛生、薬剤、法規・制度・倫理について、具体的な勉強内容を確認しましょう。

■衛生■

 第98回国家試験は、第97回ほどではないですが、やや難易度の高い問題でした。

 「必須問題」は、広い出題範囲に対して10問しかないため、偏りのない広く正確な学習が欠かせません。「理論問題」は、過去の問題を丸暗記しただけで正解できる問題は非常に少なく、より深い知識や応用力を必要とする、考えさせる問題が多かったです。過去の問題の周辺事項を勉強することで対応しましょう。

 「実践問題」では、学校薬剤師や特定健康診査・特定保健指導、アセトアミノフェン中毒時の解毒、病院で生じた廃棄物など、医療現場から日常生活での疾病予防まで実に幅広く出題されていますが、その多くは理論問題対策の学習で対応できます。特に出題数の多い異物代謝は構造式での出題が多い傾向にあるため、複素環や官能基をしっかり覚えましょう。

 また、第98回では重要な範囲である食品添加物、労働衛生、農薬などが出題されていないため、第99回で出題される可能性が高いと考えられます。

<早めに取り組んでほしい項目>

 □異物代謝・代謝的活性化、発がん(出題頻度が高いので、化学や生物と関連づけて理解しましょう)
 □水環境・大気環境(出題頻度が高く、試験法や試薬などが出題されやすいので正確に覚えましょう)
 □食品の品質と管理(腐敗、変敗などの機構を理解し、食品添加物につなげましょう)

作成:大内 邦弘

■薬剤■

 薬剤は、薬物動態学、物理薬剤学、製剤学からなっています。その中で、早めに手をつけるべきは薬物動態学です。

 「薬物動態学」の出題数は約20問と最も多く、勉強に時間がかかります。勉強の優先順位として、計算系は早めに対策を始めましょう。計算系は身につくまでは時間がかかりますが、一度身につけば抜けにくく、得点源とできます。今年中に勉強を完了させることをお勧めいたします。

 吸収、分布、代謝、排泄、相互作用は、98回で非常に多く出題されました。この範囲を得点源にできれば、薬剤の点数は飛躍的にアップします。どちらの範囲も既出問題をしっかり解くことが重要です。

 「物理薬剤学」は物理化学とのつながりが深いため、物理化学を勉強した後に勉強すると効果的です。溶解現象、分散系、界面活性剤、粒子粉体の性質は出題頻度が高いため、漏らすことなく勉強しましょう。98回においては難解な問題は少なく、既出問題ベースの出題でした。まずは既出問題をしっかりと解き進めてください。

 「製剤学」は薬剤の中で最も点数を取りやすい範囲と言えます。98回においても既出問題からの出題が主であり、既出問題をしっかりと解いていた方は満点近く得点できたと思います。既出問題ベースで出題される傾向は毎年同様です。99回国家試験は満点を取る気持ちで勉強を進めて下さい。

 薬剤は総じて出題範囲が大きく偏ることはありません。苦手範囲をなくすように勉強し、得点アップを目指してください。

<勉強する際に意識してほしいこと>

 □言葉の意味の把握
 □全体像を押さえる
 □式の整理(○○式は△△に用いるなど。必須問題対策として)
 □既出問題の掘り下げ(×の記述の直し、○の記述の周辺知識の確認など)

作成:米永 友樹

■法規・制度・倫理■

 第98回国家試験の問題は、難易度はそれほど高くはありませんが、問題をしっかり読めない方が増えており、正答率は、高くなかったと思われます。しかしながら、勉強を後回しにしやすい傾向にある科目のため、早めに取り組むよう心がけてください。

 また、薬事法の範囲は、CBTではSBOが少なかった範囲が、国家試験ではよく出題される、という範囲がありますので注意が必要です。また薬事法は範囲が非常に広いため、学習するのに、時間がかかります。早めに取り組んでください。

 他に、よく出題される範囲として、管理薬、保険関連があります。管理薬では、特に麻薬、向精神薬、覚せい剤原料が重要です。それぞれの各論を学習すると共に、比較も意識しましょう。保険関連では、医療保険がよく出題されます。被用者保険、国民健康保険など、1つひとつを整理することが重要です。また、保険の範囲は複合問題でも出題されやすい傾向にあります。しっかりと学習しましょう。

<早めに取り組んでほしい項目>

 □薬事法(出題数が特に多い範囲です)
 □管理薬(麻薬、向精神薬、覚せい剤原料など)
 □保険(医療保険、介護保険。特に医療保険の出題数が多い)

作成:大石 俊介


 いよいよ国家試験が近づいてきました。体調に気をつけながら、引き続きがんばってください。

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大石 俊介
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