ニュースダイジェスト 「薬事日報」の紙面から

2020年9月1日 (火)

薬学生新聞


薬大の入学定員適正化を‐厚労省検討会が初会合

 厚生労働省の「薬剤師の養成および資質向上等に関する検討会」が7月10日に初会合を開き、薬剤師に対する教育や薬科大学のあり方などについて意見交換した。構成員からは、薬剤師の臨床研修の不足を懸念して、免許取得後に病院実習を義務づけること、薬学生の留年や教育の質の低下といった問題を考慮し、現在の入学定員を適正化すべきなどの声が上がった。

 検討会では、医薬品医療機器等法の改正などで薬剤師に求められる役割が変化し続ける状況に対応するため、薬剤師の養成や資質向上に関する課題、需給調査などについて検討することとしている。初会合では、厚労省が薬剤師、薬学教育の現状に関するデータを示した上で、これら課題について意見交換した。

 宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)は、医師と比べた薬剤師の臨床研修の不十分さを問題視し、「卒業後に最低でも2年ほど病院実習を義務づけることが重要だ。薬剤師の偏在問題も解決できる」と提案した。

 赤池昭紀構成員(和歌山県立医科大学客員教授)は「薬学における臨床教育や将来の進路とは別に、薬剤師の資格を取った人が臨床経験を積むことが必要と感じる」と同調した。

 政田幹夫構成員(大阪薬科大学学長)も「6年制の過程で臨床に関わることはほとんどなく、実務に必要な薬学は中途半端だ。ある程度の臨床を知らないと薬剤師業務はできない」と述べ、臨床経験の重要性を強調した。

 一方、2019年度に入学定員の充足率が9割に達しなかった大学の薬学部が21学部に上るなど、薬学教育を担う大学の現状を疑問視する声も相次いだ。

 安部好弘構成員(日本薬剤師会副会長)は、「入学定員が増加する中、定員割れや留年などの問題を抱えている事例もあり、薬学生を目指す人にとって望ましくない状況」と指摘した上で、「入学定員や在学生の総数が過剰にならないよう一定の規制をするなど、適正化を検討すべき」との考えを示した。

 武田泰生構成員(日本病院薬剤師会副会長)も「卒業生が入学生の5割程度になってしまうのでは、入学時点である程度の制限をかける必要がある」と問題意識を示した。

 野木渡構成員(日本精神科病院協会副理事長)は、薬剤師国家試験に合格できなかった人のフォローに言及。「薬学部を卒業した人は、テクニシャンなど何らかの薬剤業務ができるシステムを考えてほしい。まずは、卒業後にどんな経過をたどっているか調査すべき」と訴えた。

(2020年7月13日掲載)

遠隔服薬指導は約7万件‐特例措置の運用実績公表

 厚生労働省は8月6日、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえたオンライン診療・服薬指導に関する特例措置について、現在の運用実績を「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」に報告した。5~6月のオンライン服薬指導の件数は6万8849件で、全体の0.51%となり、最大処方日数は22~30日が3万0580件で最多となった。診療では、初診から麻薬、向精神薬を処方したケースが見られたものの、現在の感染状況を考慮し、特例措置を継続することを決めた。

 電話やオンラインを利用した診療と服薬指導をめぐっては、慢性疾患患者が医療機関等で新型コロナウイルスに感染する事態を避けることを目的に活用するため、厚労省が4月から特例措置を行っている。

 特例措置では、初診患者にオンライン等で診断、処方すること、対面診療を行った患者にもオンライン等で服薬指導することなどを認めている。

 ただ、感染状況が収束するまでの期間限定としており、同検討会で3カ月ごとに運用状況を確認した上で、措置を終えた後も残すべき内容を検討することとしている。

 この日の検討会で厚労省は、4~6月の運用実績を報告した。オンライン等による服薬指導の状況を見ると、5~6月に行った件数は6万8849件で全体の0.51%を占めた。都道府県別では、栃木県の1%が最も割合が高く、処方箋の最大処方日数は22~30日が3万0580件で最多となり、52~60日の8071件、82~90日の7323件が続いた。

 一方、7月31日時点で、全国でオンライン等による診療を行う医療機関数は1万6202施設で、このうち初診から実施しているのは6801施設(6.1%)だった。

(2020年8月17日掲載)

ベトナムで日本型国試導入‐標準薬学教育課程を整備へ

 ベトナムは、日本が実施している薬剤師国家試験の導入を目指す。医学アカデミーのグループ会社「薬ゼミ情報教育センター」がベトナム保健省、ハノイ薬科大学から国家試験開発の協力要請を受け、各大学でバラツキがある薬学教育カリキュラムの統一化を図り、国試のひな形となる共通卒業試験の仕組みを構築する。日本の薬剤師国試を導入するのは、アジアでキルギスに続き2カ国目となる。ベトナム国内の2大学を皮切りに、3年後をメドに約30大学で標準薬学教育カリキュラムの整備を目指す。

 厚生労働省とベトナム保健省は昨年、ヘルスケア・健康分野で協力覚書を調印し、医療人材の開発などで連携を開始した。カリキュラム整備事業は、国立国際医療研究センター(NCGM)が主体となって実施する厚労省から委託された2020年度医療技術等国際展開推進事業の一環で、7月から来年2月にかけて実施される。NCGMから最大3年間にわたって助成金を受け、薬ゼミ情報教育センターが事業を進める。

 ベトナムでは、医療従事者の国家試験制度が存在していない。大学薬学部は1年制、3年制、5年制と様々なコースが用意され、5年制の卒業生だけが薬剤師になれる仕組みとなる。

 ただ、市中の薬局では、医師が処方箋によって管理するリスクの高い薬剤を入手できるものの、薬剤師のスキル不足や服薬指導が行われないために、薬物による重篤な副作用や抗菌薬の不適切な投与による薬剤耐性菌の出現など、健康被害が多発している。

 ベトナム政府はこうした状況を問題視。医師や看護師国家試験を導入するための制度整備に加え、薬剤師国試や継続教育の質向上に向けた議論を進めている。

(2020年8月7日掲載)

「卒後研修実施、病院の3割」‐名大病院薬剤部・山田氏ら調査

 全国の病院のうち、カリキュラムに基づく1カ月以上の薬剤師の卒後研修を実施している施設は約3割に達することが、山田清文氏(名古屋大学病院教授・薬剤部長)らの研究グループによる調査で明らかになった。医療従事者のうち、医師の卒後研修制度は確立されているものの、薬剤師の標準的な研修体制はないのが現状で、各病院の努力に委ねられている。こうした状況下でも、約3割の病院が卒後研修に取り組んでいることが判明した。今年度内に、標準的な薬剤師卒後研修カリキュラム案をまとめたい考えだ。

 調査は、厚生労働行政推進調査事業費の補助金を得て、2019年度から3年間の期間で進行中の「薬剤師の卒後研修カリキュラムの調査研究」の一環として実施した。

 日本病院薬剤師会の会員施設を対象に、昨年9~10月にアンケート調査を実施。1505施設から得た回答を解析した。

 その結果、カリキュラムに基づく1カ月以上の薬剤師卒後研修を実施しているのは合計484施設で、全体の32%を占めていた。このうち薬剤師レジデントの研修を行っているのは42施設だった。一方、1017施設(68%)ではカリキュラムに基づく1カ月以上の研修を実施していなかった。

 回答施設の属性を分析したところ、規模が大きく薬剤師数が多い病院ほどカリキュラムに基づく研修の実施率が高く、逆に規模が小さく薬剤師数が少ない病院ほど実施率は低かった。

 多くの施設では、オンザジョブトレーニング(OJT)で薬剤師の研修が行われているものの、カリキュラムに基づく研修は7割の施設で未実施だった。

 アンケート調査を担当した橋田亨氏(神戸市立医療センター中央市民病院薬剤部長)は「病院に就職した薬剤師の初期研修の機会が必ずしも均等に与えられていないのは問題」と指摘する。

(2020年7月20日掲載)



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