ニュースダイジェスト 「薬事日報」の紙面から

2021年5月1日 (土)

薬学生新聞

【科学院・此村氏が推計】薬局薬剤師1万人増必要‐30年度以降、処方箋増で

 薬局薬剤師が1日に応需可能な処方箋枚数が現行のまま推移すると仮定した場合、院外処方箋枚数の増加に伴って2030年度以降は18.8万人の薬局薬剤師数が必要になるとの推計結果を、国立保健医療科学院保健医療経済評価研究センターの此村恵子氏がまとめた。現行から約1万人増の薬剤師が必要になるという研究結果だが、一方で業務効率化によって応需可能な枚数を増やせば、現行の18万人でも十分に対応できるとの見通しも導き出した。

 此村氏は、将来必要になる薬局薬剤師数を解析するため、人口動態推測をもとに、今後の年間院外処方箋枚数を予測。高齢者人口の増加に伴い、30年度や35年度の枚数は、19年度に比べて約5%増の8億6000万枚前後になると推計した。将来、薬局薬剤師が在宅医療に出向く回数も試算した。

 並行して、薬局薬剤師が処方箋1枚の処理に費やす平均時間を算出した。根拠には、15年に実施された厚生労働科学研究「薬局・薬剤師の業務実態の把握とそのあり方に関する調査研究」のタイムスタディ調査の数値を活用。10薬局の平均的な業務時間として示された▽受付から処方監査2分50秒▽調剤2分39秒▽監査3分19秒▽薬剤交付・服薬指導3分6秒▽薬歴記載6分43秒――の合計値約18分40秒を、1枚の処理に費やす平均時間として設定した。

 その上で、今後予想される対人業務の拡充や業務の効率化を踏まえ、様々なシナリオを設けて推計値を算出。その値をもとに、薬局薬剤師が1日に応需可能な院外処方箋の平均枚数を出し、在宅医療に費やす時間やパート薬剤師の存在、院外処方箋枚数の増加を考慮して、将来必要とされる薬局薬剤師数を解析した。

 その結果、各業務に費やす時間が現行のまま推移すると仮定した場合、1人の薬局薬剤師が1日に応需可能な処方箋枚数は22.7枚で、30年度以降は18.8万人の薬局薬剤師数が必要になると推計。現行より約1万人増やす必要があることが分かった。

 一方、薬剤交付や服薬指導に費やす時間を現行の2倍に増やしたシナリオでは応需可能枚数は1日19.3枚に減少し、必要な薬剤師数は30年度以降22.1万人に増加。対人業務を拡充させた場合、現行より約4万人増やす必要があることが明らかになった。

 逆に、ITや機器の活用などで薬歴の記載に費やす時間を現行の半分に減らしたシナリオでは、応需可能枚数は1日27.4枚に増え、必要な薬剤師数は30年度以降15.7万人で済むと予測した。業務効率化に取り組めば、現行の薬局薬剤師数でも増え続ける院外処方箋に対応できるという結果になった。

(2021年4月7日掲載)

【厚労省】薬剤師の配置時間規制廃止‐薬機法改正省令案を公表

 厚生労働省は3月26日、OTC医薬品販売に関する薬剤師などの配置時間規制を定めた医薬品医療機器等法の施行規則を一部改正する省令案を公表した。薬剤師などの有資格者を営業時間の半分以上配置する規制が省令で定められているが、昨年12月に開催された政府の規制改革推進会議で規制の廃止が取りまとめられたことを受け、規定を廃止する省令改正を行う。今月下旬に公布し、8月1日に施行する。

 省令では、薬局等でOTC薬を販売する場合、開店時間の半分以上は薬剤師や登録販売者を配置するよう求めている。ただ、昨年10月に行われた規制改革推進会議で日本フランチャイズチェーン協会などから規制見直しが提言され、12月の会議で規制の廃止が取りまとめられた。

 規制の廃止に向けては、厚労省が今年度内に結論を得た上で速やかに実施することとされており、今回、薬剤師などの有資格者を営業時間の半分以上配置する規定を省令から削除することにした。

 そのほか、店舗の開店時間のうち、医薬品を販売・授与する時間を消費者にも分かりやすくするために、当該店舗内と店舗外側の見やすい場所に掲示することも省令案に盛り込んだ。

 OTC薬の販売をめぐっては、薬剤師・登録販売者の専門家による管理体制が必要とされているが、日本フランチャイズチェーン協会などが薬剤師や登録販売者によるOTC医薬品の対面販売、販売時間規制が医薬品を必要とする患者の利便性を損なうと主張していた。

 河野太郎行政改革相も、昨年10月の規制改革推進会議で、薬剤師等の配置時間に関する規制について「営業時間の半分以上ということを規制で決める必要はないのではないか。どれだけの時間にわたって有資格者を置いて販売するかは、各店舗で判断すべき話」とし、柔軟で多様な方法により医薬品を提供すべきとの考えを示していた。

(2021年3月29日掲載)

【JACDS】調剤額が1兆円を突破‐ドラッグストア実態調査で

 日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は4月16日の定例会見で、2020年度のドラッグストアにおける調剤額が前年比9.0%増の1兆0693億円になったと発表した。18年以降、10%前後の伸び率で推移しており、今回初めて1兆円を突破した形となった。

 ドラッグストア実態調査結果から判明したもので、池野隆光会長(ウエルシアホールディングス会長)は、「以前から伸びていくと思っていたが、1兆円を超えるということは、ドラッグストアとしてその次が見えてくる気がする」と期待感を示した。特に最近では、薬剤師を中途採用する難易度が下がっていることに加え、調剤併設の動きも進んでいるとして、「今年度は相当伸びるのではないか」との見通しを示した。

 実態調査によると、国内の調剤医療費総額に占めるドラッグストアの調剤額のシェアも15年以降拡大を続けている。20年度のシェアは、暫定で昨年比1.1ポイント増の13.8%。20年度の調剤医療費総額が未集計なため、19年度の総額で集計した数値だが、JACDSは20年度の調剤医療費について、薬価改定やコロナ禍での受診抑制の影響で減少を見込み、実際のシェアは13.8%を超えると予想している。

 池野氏は「コロナ禍の中で門前薬局から面薬局に流れているとの感覚がある」と指摘。「新規開局も続いており、今後も伸びることは間違いない」と語った。

 一方、日本医薬品登録者販売者協会(日登協)の樋口俊一会長は、登録販売者の配置基準である「2分の1ルール」の廃止案への対応について言及し、継続して「断固反対」と意思表示していくと共に、日本薬剤師会の山本信夫会長らと廃止案をめぐって意見交換したと説明。「日薬との意見交換では、日登協として廃止を危惧していると伝えた。廃止について100%反対しているわけではなさそうだったが、ベクトルが全く違うわけではない」と話した。

(2021年4月21日掲載)



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