荒尾専務・インタビュー
帝人は、ヘルスケア領域で保険診療外ビジネスに本格参入する。ヘルスケアとITを結びつけた融合事業から生まれた自社製品の提供を通じて、医療機関や消費者からデータを取得し、それらを集積した情報プラットフォームを活用することで、ヘルスケア領域で新たなサービスを創出する方針。データの収集、解析を行い、新規事業で必要となる未充足な医療ニーズを探る狙いだ。専務執行役員新規事業推進本部長の荒尾健太郎氏は、本紙のインタビューに応じ、「医薬品、医療機器、在宅医療、食品素材の基盤を社内に有し、融合事業として展開できるのは帝人だけ。様々な方面でデータを取得することができる」と自社の強みを話す。「医療保険診療内の事業をこのまま続けていても、大きな発展はないのではないか」とし、未病、疾病、介護の全てに対応するトータルなヘルスケア事業で医療現場と一般消費者の双方のニーズに応えていく。
医薬品の市場環境をめぐっては、製薬各社が継続的な新薬の上市に生き残りをかけ、後期臨床段階にある有望な開発品を保有するベンチャーを高額で買収したり、アカデミアからシーズの獲得を図るといった対策に追われている。帝人ファーマも、主力の痛風治療剤「フェブリク」などが成長を牽引してきたが、今後画期的な新薬を創出していくのが難しい状況に直面している。荒尾氏は「医薬品事業も成長させながら、帝人グループのヘルスケア事業と融合させた新規事業を加速させる必要性を強く感じていた」と話す。