【中医協】対人業務に手厚い評価‐診療報酬改定案を答申
中央社会保険医療協議会は、2020年度診療報酬改定案をまとめ、加藤勝信厚生労働相に答申した。調剤報酬では、調剤料と調剤基本料の一部を適正化して確保した財源を「薬剤服用歴管理指導料」や、薬局の対人業務の評価で新設される「服用薬剤調整支援料2」(100点)、「吸入薬指導加算」(30点)、「調剤後薬剤管理指導加算」(30点)、「経管投薬支援料」(100点)などの項目に振り向けた。18年度改定で新設された「地域支援体制加算」は、現行の35点を38点に引き上げ、より地域でかかりつけ機能を発揮できるような実績要件に見直した。病院薬剤師の病棟活動を評価する「病棟薬剤業務実施加算」は、加算1と加算2の点数をそれぞれ120点、100点に引き上げ、「常勤薬剤師2人以上」の要件も緩和した。
調剤基本料は、1~3の点数を据え置いた。ただ、門前薬局や医療モールの薬局が該当する基本料2(26点)については、「処方箋受付回数が1800回超~2000回以下で、集中率が95%超」を新設。基本料3(21点)についても、新たに「同一グループで処方箋受付回数が月3万5000回超~4万回以下で、集中率95%超」を設けて範囲を拡大した。
敷地内薬局を想定した特別調剤基本料は、2点マイナスの9点に設定し、対象には同一建物内である場合を除いた「診療所敷地内薬局」を追加。集中率も現行の95%超から70%超に拡大した。
調剤料は、日数に比例した算定方法を見直した。これまで5点の日数倍だった「1~7日分」を28点、4点の日数倍だった「8~14日分」を55点にそれぞれ定額化した。
18年度実績では、1~7日分の調剤料が平均27点、8~14日分は61点だった。これを踏まえると、1~7日分は平均より1点上がるが、8~14日分は6点下がることになる。「15~21日分」は3点プラスの64点、「22~30日分」は1点マイナスの77点とし、「31日分以降」は86点で据え置いた。
地域支援体制加算の実績要件は、基本料1を算定している薬局にとって要件が厳しくなった。具体的には、▽麻薬小売業者の免許を受けている▽在宅患者薬剤管理の実績が年12回以上▽かかりつけ薬剤師指導料等にかかる届け出を行っている――の要件を満たすことが必須となる。
その上で、▽服薬情報等の文書での提供年12回以上▽薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に1回以上出席――のいずれかを満たす必要がある。ただ、基本料1の新たな実績要件が適用されるのは21年4月1日からで、それまでは現行規定を適用する経過措置期間が設けられた。
基本料1以外の薬局については、現行の8要件のうち、「麻薬指導管理加算10回以上」の要件を「調剤料の麻薬加算10回以上」に見直し、「薬剤師研修認定制度等の研修を修了した薬剤師が地域の多職種と連携する会議に5回以上出席」の要件を新たに追加。9要件のうち八つを満たせば算定できる。
同一薬局の利用も推進する。薬剤服用歴管理指導料について、3カ月以内に再度お薬手帳を持参して来局した患者は2点プラスの43点、それ以外の患者は4点プラスの57点に見直す。低い点数と高い点数の差を広げることで、患者負担の少ない薬局を繰り返し利用してもらうことを見込んでいる。
かかりつけ薬剤師指導料は3点プラスの76点、かかりつけ薬剤師包括管理料は10点プラスの291点に設定。施設基準として患者のプライバシーに配慮するため、「パーテーションで区切った独立したカウンターを有する」を追加した。
外来患者の重複投薬解消に向けて処方状況を薬局が一元的に把握し、処方医に是正提案を行う取り組みを評価する「服用薬剤調整支援料2」は100点(3月に1回まで)に設定した。
喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者などに練習用吸入器を使って実技指導を行い、指導内容を医療機関に提供する取り組みを評価する「薬剤服用歴管理指導料 吸入薬指導加算」には30点(3月に1回まで)、経管投薬が行われている患者が簡易懸濁法を開始する際に、医師の求めなどに応じて必要な支援を行った場合を評価する「経管投薬支援料」は100点(初回のみ)をつけた。
また、糖尿病治療薬の服用状況や副作用の有無などを電話で確認するなどして医療機関に必要な情報提供を行うことを評価する「調剤後薬剤管理指導加算」は30点(月1回まで)に定めた。いずれも医療機関や患者、家族の要請と同意が必要になる。
【厚労省】17成分52品目が再算定‐ゾレアに効能変化の特例
厚生労働省は、2020年度薬価制度改革で再算定の対象となる17成分52品目を中央社会保険医療協議会総会に示し、了承された。新設する効能変化再算定の特例をノバルティスファーマのヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤「ゾレア」に初めて適用。特例拡大再算定については、MSDの抗癌剤「キイトルーダ」と第一三共の血液凝固阻止剤「リクシアナ」が対象品目となり、多くの品目で薬価が引き下げられることになった。
現行ルールでは、効能追加で主な効能・効果が変更された場合、変更後の効能等に関連する薬理作用類似薬に価格が近づくよう再算定が適用される。ただ、20年度の薬価制度改革では、類似薬がなくても参照薬と比べて著しく1日薬価が高く、市場規模が拡大すると考えられる場合は、現在の効能変化再算定と同様の再算定を行う特例を設けることになった。
ゾレアは、昨年12月に季節性アレルギー性鼻炎の効能を追加。アレルギー性鼻炎を効能とする点鼻用ステロイド製剤を参照薬とし、1日薬価や市場規模を確認した結果、効能変化再算定の特例に当たると判断した。
また、特例拡大再算定は、年間の売上高が1000億円以上1500億円以下で、予想販売額の1.5倍を超えた品目の薬価を最大25%引き下げ、年間売上高が1500億円以上で予想販売額の1.3倍以上の品目は最大50%の薬価を引き下げるルール。
今回、キイトルーダは年間売上高が1500億円を超え、予想販売額の1.3倍以上に拡大したことから、特例が適用された。リクシアナは、年間売上高が1000億円を超え、予想販売額の1.5倍以上に拡大したことから、特例対象となった。
【マツキヨHD/ココカラ】21年10月に経営統合‐売上、店舗数業界トップ
昨年から経営統合に向けた協議を開始していたマツモトキヨシホールディングス(HD)とココカラファインは、正式に経営統合する契約を締結した。2021年10月1日の統合を目指す。新統合会社に向け、ココカラファインが発行する第三者割当増資をマツキヨHDが引き受け、1株当たり6460円で約20%の株式を取得。ココカラファインはマツキヨHDの持分法適用会社となる見込みだ。売上高1兆円規模の巨大ドラッグストアがいよいよ誕生することになった。
両社は、昨年から経営統合に向けた協議を行ってきたが、今後の目指す方向性が一致していることを確認できたことに加え、仕入れ面をはじめ想定以上の統合シナジーが見込めると判断し、正式に経営統合を決めた。経営統合後3年目をメドに、両社で数百億円規模の収益改善効果を見込む。また、経営統合の一環として、両社が資本提携することも発表。ココカラファインが発行する第三者割当増資をマツキヨHDが引き受け、ココカラファインはマツキヨHDの持分法適用会社になる予定だ。統合新会社の代表者には、マツキヨHDの松本清雄社長が就任する方向で調整している。
両社の統合により、売上高は1兆円規模、店舗数は3000店を超え、いずれも業界トップとなる。調剤事業でも売上高は1000億円、拠点数も約600拠点となり、ドラッグストア業界で圧倒的なプレゼンスを獲得する。
今後、経営統合によって国内ドラッグストア業界の競争に勝ち残り、将来的には「美と健康」領域のアジアナンバーワンを目指していく考えだ。さらにドラッグストアとしての社会的使命も意識し、地域包括ケアシステムの構築も推進していく。