【薬学生のための合同企業・大学交流会】グループワークで活発な議論

2017年11月1日 (水)

薬学生新聞

今回初めてグループワークを導入

今回初めてグループワークを導入

 大学薬学部・薬科大学の就職担当責任者とドラッグストア・調剤薬局等の人事採用担当者が一堂に介する「薬学生のための合同企業・大学交流会」がこのほど、都内で開催され、30企業31大学が参加した。同交流会は、継続的に企業と大学が協力し合い薬学発展に努め、薬学生の社会への道をより良いものにすることを目的としており、今回で節目の10回目を迎えた。今回は、さらなる活発な意見交換の場とするべく、グループワークという取り組みを導入。▽職業理解という観点でインターンシップなど、企業・大学の共同活動についての意見交換と実施可能事項(職業理解する上で企業・大学とで連携できる事項や要望、取り決めなど)▽就職活動についての企業・大学との意見交換と相互の認識再確認(就職活動時期、採用広報活動、選考方法など)――という二つのテーマについて議論を深めた。

早瀬氏

早瀬氏

 会議の冒頭には、同交流会相談役の早瀬章二氏(ウエルシア薬局)があいさつに立った。

 早瀬氏は10年という歴史を積み重ねた同交流会を振り返り、「第1回は17企業5大学の参加だった。当時の議題は“薬学生の就職の在り方”で、今回の議題も“薬学生の就職の在り方”。10年経っても同じことの繰り返しのようになってしまっており、学生に各企業の姿がきちんと伝わっていないのではないかと思う」と指摘。「やはり、出口側(大学)、入口側(企業)がしっかりと意見を述べ合って、本当の意味での改革、革新のある会にしたい」とし、「薬学生の就職の在り方に関して、基準は薬学生自身にある。ただ、そういった中でわれわれは、“しっかりと学生をサポートする”“しっかりと企業の情報を伝達する”、こうしたことが必要であると思う」と強調した。

インターンシップ

業界の方向性伝える内容に‐学年別のコース求める意見も

 引き続き実施されたグループワークでは、参加者を八つのグループに分け、二つのテーマのうち一つを選択して議論するという形をとった。議論時間は約1時間であったが、各グループとも真剣で熱い議論が展開され、その後、議論の内容が発表された。

 各グループの主な発表内容を見ると、インターンシップに関しては、「大学、学生、企業の3者それぞれに本音と建て前がある中、最大公約数を取ると、学生にとって何が必要かを重点的に考えるべき」といった意見や、インターンシップの内容について、「デモ体験や職種にこだわるような体験を行い、学生が将来のキャリアをイメージできるような内容にしてほしい」といった要望も見られた。

 インターンシップの問題点としては、「そもそもインターンシップの内容等に定義がなく、そうした状態で各企業が実施している点が問題」といった意見が示された。これに対する解決の方向性では、「企業は各企業の活動内容を情報提供するようなインターンシップから脱却し、業界の方向性や今後の業界ビジョンといった情報を提供するインターンシップの実現、またこれまでの5年次中心のインターンシップを4年次以下でも行えるようにする体制づくり等を目指すべき」、「大学側は、現在の5年次に行っている就職ガイダンスから、4年次などに向けてインターンシップを推奨するようなガイダンスも実施する」といった考え方が指摘された。

 また、今後、実務実習が4期制になるという観点からも、「インターンシップに参加できる日程が限定されることが予想される。例えば3年次からなど、参加時期をできる限り早めることを考えている大学や企業が多くなってきている」といった現状が紹介された。一方で、3年次と5年次では薬学的な知識等の習得度合いが異なることから、「3年生コース、4年生コース、5年生コースなど、幅広く対応できるような流れにする方がより良い」との意見も出された。

就職活動

低学年次から意識づけを‐日程等のガイドライン策定を提案

 就職活動に関して示された意見としては、「就職活動の長期化が起きており、就職の意識を低学年次から持たせることが大切」「意識を高める一つの手法としては、OB・OG交流会」「情報収集にはSNS、特にLINEが中心であり、どうしても学生のコミュニケーション能力が落ちてしまっている」「就職活動が長期化する中、就職情報会社などに煽られている面もある」などが挙がった。

 就職活動の開始時期については、「経団連から指針が出ており、この交流会に参加している企業は守っていると思うが、他ではこの指針に則っていない企業もあると思う」との指摘が複数あった。これに対しては、同交流会の参加企業が指針を守っていく必要性を改めて確認した上で、「企業側の倫理観に頼っているのが現状だが、則っていない企業は次第に淘汰されていくのではないか」とした。

 さらに総合的な観点から、「就職活動の開始時期など日程の組み方、インターンシップの内容などに関して、ある程度、ガイドライン的な基準のようなものがあると、大学側、企業側にとっても良く、ひいては学生のためにもなるのではないか」といった意見も示された。

 これらの意見を踏まえ、同交流会幹事社であるウエルシア薬局の大竹一禎氏は「今回、提案等していただいた内容で改善できる点はしっかりと改善し、また次回につなげていく内容はつなげていきたい」と説明。「何よりも“第一は薬学生のため”という思いで発足した交流会なので、その点を忘れずに取り組んでいきたいと思う」とした。



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