【日本薬学生連盟・意識調査】「就職」「育休」どう考えてる?

2018年9月1日 (土)

薬学生新聞


はじめに

 今回、日本薬学生連盟では、1年生から6年生までの会員を対象に就職や育児休暇に関する意識調査を行い、77人の回答を得ました。

 希望する就職先を質問したところ、その回答からは、学年(1~3年生、4~6年生)や性別によって将来薬剤師として活躍したい場に異なる傾向があることが分かりました。

 また、近年話題となっている育児休暇について、現時点ではどのように考えている人が多いのか調査したところ、ライフサイクルと仕事に対する学生としての捉え方が見えてきました。

希望する就職先は?

 今回のアンケート結果によると、病院と薬局を希望する学生の割合が上位を占めています。これは、低学年では薬剤師というと病院や薬局のイメージが強く、そのほかの職場で実際に働くことを具体的に想像しにくいためと思われます。また、高学年で病院希望の人の割合が60.7%で、薬局の32.1%と比べて2倍近く高いのは、他職種の方々と連携してチーム医療に携わりたいと感じるからだと考えられます。

 一方で調剤薬局は、地域を問わず募集があり、正社員以外でも採用されるケースが多いので、様々なライフスタイルが選べますし、再就職もしやすいです。こうした理由から、女性の薬剤師には働きやすいと思われます。

 全体的にドラッグストアの割合が低かったのは、扱う商品の種類が多いことや医薬品の管理以外の業務も抱えていること、さらに医薬品以外の日用品を買いに来る人が多いため患者さんと接する機会が少なくなるから、というのも理由の一つではありそうですね。

 ここで、性別差から読み取れた内容についても見ていきたいと思います。

 まず、男性についてですが、企業(MR)とドラッグストアを除いてほとんど差がありませんでした。具体的には、薬局・病院・研究・行政・開発・企業(研究など、MR以外)がそれぞれ20~36%ずつとなっています。

 一方、女性の方は病院・薬局が人気で、特に病院を選んだ人は65%もいますが、研究や企業を志望した人は少ないです。企業といっても就職に際して薬剤師免許が必須ではないMRは比較的募集人数も採用枠も多いので採用されやすいのですが、研究職等は新薬開発が停滞気味であるからか募集が少なく就職は難しい上に、大学院卒業が求められる傾向があり、敬遠されがちなのだと考えられます。

 まとめると、病院・薬局を希望する人は女性が多く、それ以外の研究・開発などを希望する人では男性の占める割合が高いという結果が得られました。この結果から、男性は女性よりも臨床志向が低いのではないかと考えられます。

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育児休暇、取得したい?

 このセクションではまず、将来育児休暇の制度を利用したいかどうか質問しました。回答者77人のうち約75%が「強くそう思う」「そう思う」と答え、約13%が「どちらでもない」、約12%が「あまり思わない」「思わない」と答えました。このことから、回答者に性別や学年の偏りがあるものの、育児休暇を利用したいという人が多い傾向にあると考えられます。

 学年別で見ると「強くそう思う」「そう思う」と回答した人が低学年で約70%、高学年で約90%という結果になりました。これは、学年が進むにつれて、出産や育児といったライフサイクルについてより具体的に考える人が増えてくるためと考えられます。

 男女別で見ると、男性よりも女性のほうが育児休暇を利用したいと思う傾向が強いという結果になりました。しかし、男性でも質問に対して「強くそう思う」「そう思う」と回答する人が多く見られ、育児休暇について前向きにとらえている人がいることが分かりました。

 次に、育児休暇を取得したい理由、取得したいと思わない理由を聞きました。取得したい理由としては「子供との時間を大切にしたい」という回答が最も多く、積極的に育児休暇を利用して家族との時間を確保したいという人が多いと考えられます。また、退職するのではなく休暇を取得することで、育児に専念する期間があっても同じ職場で引き続き活躍したいと考える人が多くみられました。

 取得したくない理由としては、「キャリアアップの妨げになるから」「休暇をうまく使いこなせない気がするから」「同僚の目が気になりそうだから」という意見が多く見られました。これらの意見から、近年注目が集まっているとはいえ、長期間の休暇をとることへの不安感がまだぬぐい切れていないことがうかがえます。

 以上の調査から、多くの学生が育児休暇制度に関心を持つ一方で、「実際に将来取得できるか?」という視点から考えると、まだまだ不安を持つ人が多いことが分かりました。しかし、安心して子育てができる制度を整え、周囲の理解を得やすい職場を作ることは非常に重要であると考えます。また、これから社会に出るわたしたちには、自らが育児休暇制度を利用する・しないにかかわらず、周りの人の価値観を尊重し、より育児休暇を取得しやすい環境を作っていく役割があると考えます。

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最後に

 希望就職先、そして育児休暇という二つの視点から意識調査を行ったところ、それぞれの結果から学生の職業やライフスタイルへの考え方を垣間見ることができました。

 わたしたちがそれぞれの職場で活躍するのは、地域包括ケアなどの医療制度、育児休暇などに代表される福利厚生制度の過渡期、成熟期にあたると考えられます。一人ひとりが自分と周囲の価値観を尊重しつつ、このような制度を次世代のために育てていくことがわれわれの役割となってくるのではないかと考えました。

 (東邦大学4年・川口悠里江岐阜薬科大学1年・岸川鈴音



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