ドラッグストア業界では、“2025年10兆円3万店舗産業化”という目標を掲げている。これを実現するため、「予防・治療・介護」の新たな受け皿となり、健康寿命延伸産業の切り札となるべく、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)を中心に、薬剤師、登録販売者に加え管理栄養士も活用して、日常の食事・健康指導から調剤薬までの相談を担い、かつドラッグストアが単独で在宅患者の栄養食事指導や特定保健指導がしやすい制度環境整備を強力に進めている。
JACDSが半年に1度発表している「ドラッグストア業界研究レポート」の18年後期版を見ると、17年度のドラッグストアの状況は、売上高が6兆8504億円。12年度から低迷期が続いていたが、16年度が5.9%、17年度は5.5%と2年連続で5%を超える伸びを見せており、業界でも「再成長の兆しが見えてきた」としている。
17年度の店舗数は1万9534店舗で、2万店舗が目前に迫った。まもなく18年度の状況が公表されるが、恐らく2万店舗は超えているのではないかと思われる。調剤併設店舗も拡大しており、17年度は約6500店舗にのぼった。
1店舗あたりの売上高も増加している。16年度が3.6%増、17年度は2.0%増と2年連続で増加を達成した。平均すると1店舗あたりの売上高は3.5億円を超えている。
カテゴリー別の売上高(17年度)は、調剤・ヘルスケアが約2兆1650億円、ビューティケアが1兆4310億円、ホームケアが1兆4760億円、フーズ・その他が約1兆7780億円という状況。構成比は調剤・ヘルスケアが31.6%、ビューティケアが20.9%、ホームケアが21.5%、フーズ・その他が26.0%で、伸び率で見ると、フーズ・その他の伸びが著しかった。
ドラッグストア業界の好業績を牽引しているのは、▽食品▽調剤▽インバウンド――の三つで、しばらくはこの傾向が続くと見られている。
食品と調剤の拡大については、相互のワンストップショッピングの効果を指摘する声もある。食品については既存の食品市場の奪取だが、今後はこれにサプリメント、機能性表示食品を加えた「食と健康」という新市場創造の進展へも期待が寄せられている。大都市圏でのインバウンド需要も未だに健在で、高い購買力が維持されている状況だ。
また調剤事業の拡大に伴い、大手ドラッグストアを中心に薬剤師の大量採用が続いている。ドラッグストア業界研究レポート(18年後期版)では、「薬剤師国家試験の合格基準が16年以降、絶対評価から相対評価に見直された結果、合格者数は毎年9000人を超える数値で安定しており、今後も大量採用は続く」との予想を示している。
ドラッグストア業界の今後を展望する上で、“2025年10兆円3万店舗産業化”という目標が繰り返し強調されている。JACDS等では、「地域で消費者の信頼を勝ち取り、時代の変化に対応していけば決して夢物語ではない」としている。
目標実現へ向けた取り組みの一つとしてJACDSでは、「食と健康」マーケットの創出に動き出しており、「食と健康」市場創造プロジェクトを進めている。