医薬品の開発から市販後までの一貫したリスク管理を目的として、製薬企業が承認申請時に策定する「リスク管理計画」(RMP)には、非臨床安全性研究者の関与が必要――。6月30日に金沢市で開催された「日本毒性学会学術年会」のシンポジウムでは、医薬品の安全性確保で非臨床と臨床の専門家同士が協働し、上市後医薬品の育薬に取り組む必要性が各演者から指摘された。非臨床段階で集積した安全性情報から臨床における有害反応を予測し、副作用リスクを軽減していくエビデンスづくりには非臨床と臨床の視点が欠かせない。開発と市販後にとどまらず、非臨床と臨床、ファーマコビジランスの部門間連携が「RMPを成功する鍵」になりそうだ。
RMP施行を背景に、非臨床段階で集積した安全性情報を、市販後の実臨床に応用し、副作用リスク低減につなげる全社的な安全性管理が必要とされてきている。ただ、製薬企業の非臨床部門では、承認取得に向けた安全性プロファイルを明らかにすることが優先され、医療現場が目指す「個々の医療における治療リスクの最小化」とは乖離があるのが現状。実際、市販後の安全性の問題については、非臨床部門にフィードバックされる機会も限られており、研究開発から市販後まで一貫したリスク管理体制が整備されていない状況にあった。