キャリア・ポジション社長
西鶴 智香
日本が今抱えている課題の一つは、43兆円超の医療費をどう抑制するか。高齢者数は今後さらに増えると予測される中で、名案が出てこないのが現実です。
日本の人口は世界で11番目の数にもかかわらず、実は世界で3番目に薬を服用する量が多い国民です。国民皆保険制度が整っているのが理由だと思いますが、それでもいかに薬を服用しているかがよくわかります。
それもそのはず、日本人の典型的な医療のかかり方はというと、[1]かぜをひいて病院に行く(OTC医薬品を購入するより3割負担で安いから)[2]花粉症で病院に行く(同じ理由)[3]子供が熱を出して病院に行く(タダだから)[4]高齢者は、膝や腰が痛いと整形外科へ通う(理学療法士が安くて本格的な処置をしてくれるのに1割負担)[5]高齢者は多種類の薬を服用する(1割負担で安いし、医師に相談したいから頻繁にかかる)――などの姿をよく見かけます。
こういった現実を見ていると日本では確かに、誰でも、どこでも、いつでも病院に行くことができ、すぐに専門医が診てくれるという利点はありますが、この安易ともいえる日本人の医療のかかり方が、国民医療費の増加につながっていると思われます。
では、これからますます高齢者が増え、効果的な医療費抑制策が見つからない中、あなたが日本のリーダーで具体的行動を決定できるとしたら、何をどう変革しますか?ひょっとすると皆さんの中には「平均寿命も長い日本はこのままでいい。医療費の原資となる税金を上げればいいのではないか」という意見もあるでしょう。私も国民皆保険はとてもいい制度だと思っています。税金を上げるほかに、もっと効果的、効率的な制度に変革できないでしょうか。
私が大学で講義を担当する看護学生に意見を求めたところ「国民は、体調の相談はまず薬局薬剤師に相談し、そこでOTC医薬品で治るものは保険を使わずそれを購入すればいい。そうでない場合は、薬剤師が判断して医師を紹介すればいい」という意見が出ました。看護師の卵は「もっと薬剤師が頑張ればいいと思う」とエールを送っていますよ!