東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野教授の中里信和氏は、24日に都内で講演し、100人に1人が発症するといわれている「てんかん」について、「発作が理由で失職しているてんかん患者が、ちゃんと仕事をし始めたら日本の国民総生産(GNP)は1%向上する」と指摘。てんかん患者に対する差別や偏見が今もなお残っている中、周囲が疾患を正しく理解し、社会参加を促していく環境作りが重要との考えを示した。
てんかんは、脳の電気的活動が短時間異常となることが原因で、「てんかん発作」と呼ばれる神経細胞の過剰興奮を引き起こす疾患で、誰でも発症可能性がある。一般的に知られている全般発作から、あまり認知されていない部分発作、どちらにも分類されない発作など、症状が多種多様であることから、心因性発作やノイローゼなどの誤診も多い。
中里氏は、「正しく薬を使えば、てんかん患者の7割は発作が治まる」と指摘。さらに、「抗てんかん薬に抵抗性を示す3割の患者のうち、3人に1人は手術で治る」と紹介した。