キャリア・ポジション社長
西鶴 智香
「キャリアデザイン」をテーマにしたこの連載も、今回で最終回を迎えます。私は文学部出身で、薬剤師のキャリアに関する仕事をし始めて20年以上になりますが、振り返ってみるとその間、薬剤師の仕事環境は大きく変化しました。
私が大学を卒業した1990年の医薬分業率はたったの12%でした。10年後の2000年には39.5%、10年には63.1%、19年では74.9%になり、それに比例して街に薬局がどんどん増えました。このことから、薬剤師という職業が国民から認知され、就職先としても薬局が注目されてきた流れが理解できると思います。病院薬剤師の主な業務対象も外来患者から入院患者へとシフトし、求められる技能も変わりました。これがここ20年の大きな変化です。
さて、これからの20年はどうなるのでしょうか?20年後、薬学生の皆さんは40代半ばくらいでしょうか。人生の折り返し地点を経過する頃だと想像します。将来を予想するのは難しいとは思いますが、自分なりにその頃の薬剤師の仕事環境を想像して、自身のキャリアを考えてみましょう。
将来の環境を想像した上で「自分は医療をめぐる環境がどうなっていても医療人として働きたい!」と思うならその道を志せばいいし、「将来を見通すと、医療人という対人の仕事よりも、IT関連の仕事の方が発展の可能性があると思うし、好きだ!」ということならば、その道に進めばいい。そうやって、「興味がある」「どちらかというとそちらが好きだ」という比較的大きな枠で選択をしていくと、整理しやすいと思います。
病院か薬局かドラッグストアか、はたまた製薬企業か。「どの進路を選ぶべきか」と考えがちですが、そもそも「べき」などありません。親や教授やキャリアカウンセラーが何を勧めたとしても、所詮それは他人事。あなたの将来に責任を取ってくれるはずもない。自分の人生は、自分だけのもの。とことん考え抜き、自分で決めることこそが、あなたの人生を納得のいくものにしてくれるはずです。
キャリアカウンセラーの私ですが、実は、人生の大事な選択において他人に相談したことがなく、今まですべて自分で決めてきました。そのせいか、人生に後悔はありません!どうぞ皆さんも、自分が納得のいくキャリアを!応援しています。