キャリア・ポジション代表取締役
西鶴 智香
Q
薬学部4年生です。実は私はかなりの額の奨学金を借りているので、給料の高い就職先を優先して探そうと思っています。「自分が本当にやりたいことは何か」については、まだ見つかっていません。こういう考え方ではダメでしょうか?
A
奨学金返済は気になると思います。以前にある学生さんから「就職したら、毎月どのくらいの額を返済できるのか?」と質問されたことがありますが、それは手取りの給与額によって異なります。25万円の支給額の場合、社会保険料と税金を引かれて手取り額は21万円程度、支給額30万円だと手取りは25万円程度。募集要項に書かれている初任給額と手取り額には差がありますので、そこは知っておいて。
多趣味の方は別ですが、社会人は忙しいので、想像よりも意外にお金は使わないと思います。家賃や食費、光熱費、スマホ等の通信費が固定支出でしょうか。就職先によっては、社宅や寮があると家賃を抑えられます。そうなると、食費や光熱費、通信費の合計は1人暮らしの場合、5万円もあれば十分です。5万円プラス家賃に、飲み会などの交際費、交通費がその他の支出でしょうから、おおよその生活費は想定できますよね。
奨学金返済補助制度についても調べてみてください。5年生から法人が奨学金を出してくれて、その法人に数年程度在籍すると返済義務がなくなる制度や、最近は自治体が移住促進の一つとして、その地域の病院や薬局等に就職すれば返済を免除または減額してくれる制度もあります。給与はそう高くありませんが、手厚い返済支援で選んだ地方の病院が、思いのほか自分に合って楽しい職業人生を歩んでいる方もいます。国も奨学金返済支援策を増やしているので一度確認してみましょう。
その上で、自分が薬剤師として働く仕事観、具体的には▽求めたいやりがい▽領域▽対象――などをじっくり整理しませんか。来年の実務実習はその情報を得られる絶好の機会です。たくさんの先輩方の「専門家として働く実際」を見て、自分の仕事観を考えてみてください。まだまだ時間はありますよ。